【コラム】 |
電波運ってあるんですか? |
特に携帯電話が使いづらい部屋だ。例えば、かなり前に使っていたTU-KAの携帯電話は、部屋の外だとアンテナマークが3本立つのに、部屋に入ると0本もしくは圏外となる。TU-KAの電話に着信があっても、受話器を耳に当てたら切れる、なんてこともしょっちゅうだった。
パルディオ312Sとデータカード。'97年4月のPIAFSデータ通信サービス開始に先だって発売された32K対応端末はコレだけだった |
じゃあPHSするのはお外として、室内ではホームステーション(NTTパーソナルのPHSを一般電話回線のデジタルコードレスホンとして使う装置)を使って、パルディオ312Sをデジタルコードレスホンにして楽しもう、ということにした。が、これもなんつーか電波が不安定なのか、安定性に大きな波がある。フツーに使えたり、異常に不安定だったり。原因不明の奇妙な動作をする。なんつーかイマイチ良くない感じである。
マトモに通話できるのは、NTT DoCoMoのデジタル携帯電話と、一般電話回線だけ。あー俺はなんて電波運のないコンピュータ野郎(もとBCL野郎)なんだ~とやるせない日々を送っていた。
そこへ、知る人ぞ知る女子大生漫画家の餅月あんこ先生がやってきて、おもむろにDDIポケットのPHSを取り出し、おもむろに通話し、おもむろに「にゃ~スタパさんPHSの電波が弱まってるとか言ってたけどDDIだったら入るじゃないですくわ~。にゃ~ムトーハップ~大島椿油~」などとおっしゃった。
俺の物欲的気配を察してか、餅月先生はホラこのスケルトンモデル超オシャレでしょカワイイでしょ便利っていうか1円で買ったっていうかスタパさんも買った方がいいですよなどと俺を煽ったので、その場ではフッそんな子供だましの電話いらねえよナメちゃいけねえぜ子猫ちゃんなどと虚勢を張ったが、餅月先生がお帰りになった直後電気屋へ走って速攻でDDIのPHSを物色した。
'97年11月に発売された東芝のCarrots最新型DL-S27P。約73g、連続待受約800時間 |
買ったのは、Carrotsという東芝の端末と、PHS-M302Sというサンヨーの端末と、PHS-M302という(PHS-M302Sを子機として使える)留守番機能付き電話機だ。
モヤモヤしてたクセに2台もPHSを買ってしまったのは、餅月先生をビビらせるためではなく、電気屋の店頭で都合良く気を失ってしまったからである。
ていうかホントは、CarrotsをPHS兼デジタルコードレスホンとして使い、PHS-M302をその親機兼留守番電話として使いたかったためで、PHS-M302SはPHS-M302とセットじゃないと売ってなかったからというわけだ。
次に、2台(2回線)の新DDI端末の一方、PHS-M302Sの解約も試みた。最近では、いわゆる“シバリのPHS”というのが多くある。例えば1円などの激安PHSを買った場合、最低限6カ月は解約できないというような契約。端末を激安で売るかわりに、基本料金や通話料金で稼ごうというキャリア側の思惑を遠回しで具体化しているシステムである。で、試しに解約できるのかどうか確認してみたら、あらま不思議、買ったその日に解約できちゃいました(でも締め日がまだ先だったので、数日はPHSとして利用できてしまった)。
さあスッキリした。部屋の中では何かと不都合が多かったNTTパーソナルとは縁が切れたし、室内でも使えるPHSことDDIの端末が手に入ったし、これをデジタルコードレスホンとして使えるようになった。
サンヨーのPHS-M302。'97年11月発売。子機は6台まで接続可能。“テ・ブ・ラ・コードるす デジタル”の愛称から分かるように、親機本体だけでも“てぶら”で通話できるのがウリ。留守録はDSPに約15分記録可 |
それから、解約したパルディオ312Sだが、これはPHSとしては使えなくなったものの、まだホームステーションが生きている。要するにこれも一般回線用デジタルコードレスホンとして、まだ使えるのである。
そこで実験。パルディオ312S+ホームステーション(NTT組)と、PHS-M302+PHS-M302S(DDI組)の、どちらの一般電話回線用デジタルコードレスホンの方が使いモノになるか。両方の端末を持って、部屋から徐々に離れてみた。すると、目に見えてパルディオ312Sの方のアンテナマークが減っていく。NTT組不利か!? さらに、離れては通話、離れては通話、という感じで、実験続行。結果、DDI組の勝ち。DDI組だと部屋から30メートル以上離れた(しかも障害物多数アリの)場所で使えたが、NTT組だと20メートルくらい離れたらもう通話できなくなった。ふぅん、なるほど。
が、音はNTT組の方が良い。NTT組は、かすかにジーというノイズがある程度である。DDI組はサーというわりと目立つ(というか耳障りな)ノイズが始終あった。なんでかしら。ちなみに、PHSとして使った場合は、両者にそれほど大きな差はなかった。
デジタル・テ・ブ・ラ・コードるすについて敢えて言えば、親機のみで売って欲しいということ。αPHS対応の電話機なので、数々のDDIポケット系PHSを子機登録できるのだ。だから、親機だけで販売すれば、NTTパーソナルのホームステーション的な存在として多くの人が欲しがると思うのだ。まあ専用の子機であるPHS-M302Sだと、親機の各種機能をリモートコントロールできるから便利なのだが……。
そんな感じで、けっこうキマったフィーリングで電話ライフを送っている俺だが、やっぱりPHSはPHSだ。俺の部屋からPHSとして通話できたり、町中を歩きつつ高音質な通話ができたりしても、部屋にいるときはいつも一般電話回線で通話し、出かけるときはいつもクルマな俺には、PHSっちゅーモンはいまひとつ利用価値が少ない。
クルマで走ってると使えないし、ちょっと郊外に出ると圏外だし、これをメインの携帯用の電話にするにはちょっと……という感じなのである。デジタルコードレスホンとして利用できるのはいいのだが、PHSとしてはあんまし利用しない俺なのであった。つまり俺みたいな人には携帯電話が便利なのだ。高速で移動し、人口が比較的まばらな地区に住み、いろんな場所で確実に通話するなら、やはりドデカくてパワフルな基地局を使っている携帯電話がフィットする。
あー、なんか、電話というモノのおもしろさだけに惹かれて2台も白ロム端末を作ってしまった。う~、なんか不毛な俺。最初からもっと着実に考えればよかったなーと、ほんのちょっぴり反省した今回の購入行動であった。
□NTTパーソナルホームページ
http://www.nttphs.co.jp/
□PIAFSホームページ
http://www.32k.nttphs.co.jp/
□DDIポケット電話ホームページ
http://www.j-plaza.or.jp/ddi-pocket/
[Text by スタパ齋藤]